狐面考(2018 01 16更新)

狐と言う動物は日本の宗教史や美術史の中でもちょっと特異な地位を占めていて、その表現も古来から色々あるのですが、所謂狐面となると類型化…と言うよりも、記号化されてしまっていて似たような形の造形が多い気がします。


これ↑は3年くらい前に作った一閑張胡粉彩色の狐面なんですけども…


さて、グリコ森永事件の容疑者が「キツネ目の男」とか言われた昭和も遠くになりにけり…どころか今年で平成も終わっちゃうワケですが(笑)ツリ目をキツネ目と言い始めた人はキツネを見た事ないんじゃないか?と思うくらい、記号化されたキツネと実際のキツネは似ても似つきません。

キツネはWikipediaによれば

「哺乳綱ネコ目(食肉目)イヌ科イヌ亜科の一部。 狭義にはキツネ属のことである。広義には、明確な定義はないがイヌ亜科の数属を総称する。」

なのだそうで、イヌみたいに思われていますが体つきや顔つきはどちらかと言うと猫っぽい部分が多分にあり、特に虹彩はネコの様に縦に長く、やはりネコ同様に周囲の明るさに応じて形が変わる様です。

その辺りも含めて、神の使いとしての神秘性に軸足を置くのか、獣性を表に出すのか色々方法はありそうですが、良く見るのは伏見稲荷で売ってる様なお土産的な狐面に好きに彩色した作品か、あと狂言面の狐的な造形でしょうか?

そこで、ちょっと見たことが無い狐面を作りたいな…と思い、イヤ自分自身が見たいと思い、年末ギリギリの大晦日から作り始め本日原型が完成しました。普段木彫ですから粘土造形はあまり好きではなく、何と言うか終わり所が解らないんですよね。大まかには2時間くらいで形出来ちゃうんですけど、その後ダラダラと何日かに分けて、ちょっとずつ触って直してようやく出来る感じが短気な自分にはあまり合っていない気がします。

考えたのは、ディティールや記号性に頼らない事…実は昨日までは耳がありませんでした(!)

それでも成り立つのですが、狐面好きな人が見た時にそれじゃあ通らないだろ(困)と思い直しさっき耳を付けた所です。

あと、カッコイイ事、(相反しますが)可愛らしい事

(神の使いとして)上品な事、ですかね。抽象的ですけども。

具体的には牙とかは生やさない方向で。

この後雌型作って張り子で抜いて胡粉塗り重ねて磨いて彩色…となるとこれからが非常に時間とテマがかかる工程ではありますが、今月中には完成させたいです。

こんなあちこちアンダーテーパーで抜けるのか?と思うかも知れませんが、抜けるのか?じゃなくて抜くのです。何とかして(笑)


2018 01 14更新分


さて、原型が乾いたので離型の為のペイントを塗って(離型材でも良いのですがワックス系を使うと後々問題が生じるので…)それも乾いたらいよいよ雌型を抜きます。


寒いです。寒いと色々困る事が出て来ます。

世間はセンター試験らしいですが、なんでこんな寒い時期に毎年やるんでしょうか?

足元が悪かったり、交通機関がマヒしたり…

そりゃ事情はそれぞれあるのでしょうが、受験生の都合を最優先に考えての日程でない事だけは確かなようです。


それはともかく、個人的に寒いと困るのはシリコーンが中々硬化しない事です。

シリコーンは触媒を混ぜて化学反応で硬化させるワケですが、コレが何度やっても一筋縄ではいかない。既定の比率(主剤/硬化剤=100:4)では全然固まらなかったり、逆にあっという間に粘度が高まって作業できないうちに廃棄なんて事もあります。気温などの様々なパラメータによって変わって来るので、都度加減しなければなりません。と言う事で現在は倍の量の硬化剤投入です。まぁ元々余裕がある量入っているので倍くらいなら足りなくなりませんが…


夜にもう一層重ねて、明日バックアップを取って雌型は完成です。


2018 01 14更新分

抜けました♪

形状が少し複雑な(複雑と言うか、高さがある)ので

上手く抜けるかちょっと不安でしたがシリコーンの具合も良く

原型を破損する事も無く綺麗に抜けました。

雌型さえ抜ければ原型は廃棄しても良いのでいつもは壊して抜いていたのですが

せっかくなので保管しておく事にします。

今日はこれからFRPのバックアップを取ります。


シリコーン作業は基本的に無害で無臭(寧ろ少し良い匂い)なので屋内でも可能ですが

FRPのポリエステル樹脂は猛烈に臭いので日中屋外にやるのです。

寒いけど…


「バックアップ取るのに何で型から原型抜くの?」

と疑問に思われるムキもあるかと思いますが

そこは考えてやらないと後々ナンギするんですよ。やってみると解ります。


取り敢えず抜きました

FRP製です。インパラフィン・ポリトナー着色。1プライ。

ハンドレイアップ(当たり前か…)

張り子を作る本番時のイメージとして、立体があると便利です。

和紙や胡粉の厚みで原型よりもディティールがはっきりしなくなるので

様子見の為に抜きました。


これから一閑張で和紙を貼り込んで胡粉を重ねて磨いて彩色するとなると

さらに二週間くらいかかってしまいます(汗)


京都妖怪博覧会 妖の宴~アヤシノウタゲ

-妖怪- はっきりとは見えない、感じられない、けれども日本人が恐れと畏れを抱き続けてきた存在… 文明開化以前の日本の美意識から生まれた妖怪を 古来からの伝統的素材と技法で製作&コレクションしているヲモカゲ一座のサイト。 作者がこの世に存在しなくなっても次世代に、100年先まで継承される作品となる事を願って。 womokage@gmail.com (ご連絡頂く場合は@を半角に)

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