尿路結石
バンドに於けるベーシストの役割と言うのはイマイチ地味で、少なくとも一般の人のイメージは
「ジャンケンで負けたおいらはベーシスト」
と言うみうらじゅん氏の川柳に代表される様な、目立たない日陰者と言った印象が強いと思います。
しかしベーシストが威張り腐ってるバンドは結構あって、ピンクフロイドのロジャー・ウォーターズやLevel42のマーク・キング、ビートルズのポール・マッカートニーは言うに及ばず、そう言えばそのビートルズ日本公演で前座を務めたドリフターズのベーシストいかりや長介も威張ってましたよね(笑)
威張ってるってのとはちょっと違いますが、フリートウッドマックもなんやかんや言ってもボトムの二人ありきのバンドと言えるかもしれません。
しかし、ベーシストが偉そうなバンドの最たるものと言えば、やはりスティング率いるポリスなのではないかと個人的には思うのですが、彼らのヒット曲「King Of Pain」は「見る物、聴く物が自分の心を痛めつけるのは、多分変えられない運命なのだ」と不安と共に生きる若者の内省的な叫びを歌っています。
とまぁトカクありがちな色恋ばかりを歌いたがる日本のポップスや「ベイベー最高だ愛してる」的な偏差値低めのロケンローに比べると、イギリスの音楽の層の厚さみたいな物を感じるワケですが、この「傷みの王」たるカッコイイ名前には「尿路結石」と言うあまりカッコヨクナイ意味があるでそうで、かく言う自分がコレに初めて悩まされ病院へ行ったのは確か三十路の初夏の事だったと思います。
原因不明の猛烈な腹部の痛みにズボンを留める事が出来ず、脚だけ通してバイクに跨り近所の救急病院へ向かうと、運悪く後ろからパトカーがやって来て赤色灯とサイレンを鳴らし始めました。
ズボンがペロンとめくれて尻が出てるワケですから、これ以上不審な不審者をお巡りさんが止めない筈もありません。
とまれ事情を説明し、病院まで一緒に来て貰って疑いも晴れ、それからずっと結石を体内に飼ってる状態で今まで来ました。
毎年初夏、大体6月になると腹部の疼痛が始まり「ああ又今年も”結石祭り”の季節だなあ…」と思い、それでも付き合い方も何となく解る様になって来たのですが、数年前の傷みは我慢出来ず救急車で搬送されてしまいました。まさに「King Of Pain」の面目躍如と言った所です。
レントゲンで撮影すると、膀胱の入り口の所に小指の先程の結石が真っ白く写っています。お医者さんは「脊椎に下半身麻酔をして、尿道からカテーテルを突っ込み結石を破砕する」とか恐ろしく物騒な事を仰います。
結論から言うと、尿路につかえていた結石は膀胱に入り、当然膀胱は広いですからそれから痛みはパタっと収まってしまいました。まぁ体内に石を飼ってる事には違いないのですが。
内省的な心の痛みは確かに声なき慟哭となりますが、イヤやっぱり現実的な肉体の痛みに比べたらまだカッコのつけ様や誤魔化し様があるかな…と。
King Of Pain 39cm(額含む)
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