復顔法(メメント・モリPART2)
復顔法ってご存知ですか?
行旅死亡人(ゆきだおれ)だとか犯罪被害者の白骨死体に、解剖学的見地から肉付けしていって、生前の相貌を復元すると言うアレです。今はCGなんかでより手際よく正確な復元が出来る様になっているのかもしれませんが、幼少期の私はこの複顔法と言うヤツにいたく惹きつけられ「大人になってやりたい職業No1」だったワケです(ヤなガキですな)。
幼稚園の粘土細工の時間と言えば、男子はガイコツとウンコをひねくり出すのが定番ですが、個人的に粘土でウンコと言うのはあまりに安直で、子供の矜持としてもそれは手を出すべきでは無いと思っており、ひたすらガイコツばかりを作っておりました。
そこまでは幼稚園男児にありがちと言えばありがちで、しかしテレビで複顔法を知ってしまった私は作り上げたガイコツに粘土で更に目玉を入れ肉付けし、担任だった佐藤先生(美人)に「てっちゃん(私の事です)何作ってんの…」とドン引きされ「なにって”ふくがんほう”だよ。せんせいふくがんほう知らんの?」と説明したものの「そんなのは作ってはいけません」と、静岡市のやよい幼稚園ふじ組では複顔法禁止令が発布されたのです。
それで済めば良かったのですが、心配になった佐藤先生はウチの親に電話をし「てっちゃんが心配です…」と忠言くださいました。親には大変怒られました。
朝 高さ390mm(額含む)
さて、私は御所人形から人形の道に入っておりますので、解剖学的、つまり西洋彫刻的アプローチで立体を作る事は基本的にしません。それは医学的にも美術的にも明治維新以前の日本の文化の中に存在しなかったからです。
御所人形であれ能面であれ浮世絵であれ、日本人が作った顔は解剖学とは又違った方法論で抽出された美意識ですから、その道を通って山に登ろうとは思わなかったのです。筋骨隆々とした山門の仁王像や、松本喜三郎や平田郷陽にしてもリアリティを追求するときに多分西洋的な物とは別の手法(と言うか、観察眼)でそこに到達したのではないか…と思っています。
夜 高さ390mm(額含む)
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